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権力に背けば、即暗殺も…逮捕されたロシア活動家のその後

ほんとうのロシアとモスクワ④

■「小物」には軽い処罰。妙な一貫性のあるロシアン・ルール

 こうして、平和的な意図から様々な形でのプロテストに参加しているザブヤロフさんだが、過去には、活動中に警察に暴力を受け事もあり、一度は逮捕されて留置所へ連行された事も。数年前に行われた、ミケール・クラコフスキーという、政治犯として投獄されている人物の解放を訴えたデモ行進には約300人が集まり、ザブヤロフさんは、そこで逮捕された100人ほどの活動家の一人だった。

 政権に反する政治犯を支持したデモ行進に参加し、逮捕されたのだから、どれ程の尋問が待ち受けていたのかと思えば、そこは妙な一貫性のある、ロシアン・ルール。ザブヤロフさんのような「小物」は、所定のフォームに詳細を記入し、少額の罰金を払い、数時間後には解放されたという。ここで警察に個人の記録が残ってしまったザブヤロフさんは、その後、「海外へ渡航するのが、やや難しくなるかも知れない」とのことだが、その後も活発に、各種活動に参加し続けているという。

 権力者に背く政治家、スパイ、ジャーナリストなどが、ありとあらゆる手法で暗殺される、ロシアという国。その人物が社会に与える影響力により、異なる罰則が適用されるという意味では、妙な一貫性が保たれている。

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竹鼻 智

たけはな さとし

1975年東京都生まれ。明治大学経営学部卒、Nyenrode Business Universiteit(オランダ)経営学修士。2006年より英国ロンドンに在住。ITコンサルタントとジャーナリストのフリーランス二足の草鞋を履きながら活動し、「ラグビーマガジン」(ベースボールマガジン社)、「Number」(文藝春秋)、「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)へのコラム執筆など、現地からの情報を日本へ向けて発信。BEST T!MESでは、イングランド代表HC、エディー・ジョーンズ氏の連載「プレッシャーの力」の構成を担当。


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